キッチンカーの仕込み場所を準備する方法について解説
キッチンカーの仕込み場所を準備する方法について解説
公開日:2022年5月27日- カテゴリー
- キッチンカーのメニュー
キッチンカー(移動販売)を始めるにあたり、メニューや出店場所を決めたら、今度は「それをどこで調理するか」を考えなければなりません。ここでポイントになるのが「仕込み場所の確保」です。
開業時、仕込み場所について一度は悩んだことのあるオーナーがほとんどでしょう。
最も便利な「自宅キッチン」での仕込みが原則禁止されているため、現役オーナーはそれ以外の場所で仕込みをしています。
この対策を後回しにしてしまい、残念ながらメニューを変更せざるを得なかった人もいます。ですが、仕込み場所は車両製作や営業許可にも大きく関わっているので、早いうちから押さえておきましょう。
今回の記事では、仕込み場所と営業許可の関係、各仕込み場所のメリット・デメリットなどを解説しています。理想通りのメニューで開業できるよう、ぜひ参考にして下さい。
目次
キッチンカーの仕込み場所は限られている?
仕込みとは、「包丁で切る、水と小麦粉を混ぜる」など、調理において最初に行う下準備全般のことです。食中毒や異物混入の危険性がとても高いので、仕込みについてはどこの保健所でも厳しく取りしまっています。
キッチンカー(移動販売)の仕込みのために利用できる場所は、あまり多くありません。これには、キッチンカー営業に必要な「飲食店営業許可証(営業許可)」が関係しています。
キッチンカーの営業許可と仕込み場所の関係
キッチンカー(移動販売)を開業するためには、「飲食店営業許可証(営業許可)」が必要です。きちんとした衛生設備を搭載している車両だということを保健所に認められた証です。
「ソーセージを焼く」「からあげを揚げる」など、どんなに簡単なことでも、車内で調理するためには営業許可を取得する必要があります。
キッチンカーは、ドリンクや麺類などメニューによって営業許可が分かれていないので、わかりやすいのが特徴です。新規参入のハードルを下げてくれるポイントにもなっています。
一方、「車両設備によっては仕込みができない」「調理工程は複数まで」など、車内での調理面に関してかなり厳しい制限があります。そのため、仕込みや調理工程を車外で行う必要があるのです。
注意!自宅キッチンは仕込み場所にできない
自宅キッチンを仕込み場所にすることは、原則的にどこの保健所でも認めていません。今後も許可されることはまずないでしょう。
大幅に改修すれば通ることもあるようですが、非常に高額になってしまいます。また、年々厳しくなる食品衛生法によって、将来的に許可されなくなることも考えられます。仕込み場所は、自宅キッチン以外にしたほうが間違いないでしょう。
キッチンカーの仕込み場所を確保するには
「切る、混ぜる」といった、調理の前段階である仕込み。そのための場所としては、主に4ヶ所が挙げられます。それぞれの特徴や、メリット・デメリットについて解説していきます。
また、仕込みなしでキッチンカー(移動販売)を営業する方法も併せて紹介します。
(1)仕込みOKのキッチンカーを製作する
仕込みできる車両を製作して営業許可を取得すれば、自由な時間帯に好きなだけ調理できます。設備によっては、大半の仕込みも可能です。
デメリットは、仕込みが可能になるのは給排水タンクが「200L」の車両のみだということです。1tトラック以上の大型車両に限られるでしょう。40L・80Lタンクの場合は、たとえ営業許可があっても車内での仕込みができず、調理工程もかなり限られます。
2022年4月現在は、営業許可の基準が保健所ごとに異なっているため、それに合わせて車両を製作する必要があります。どの仕込みまでは認められているのかも、保健所によって違うのです。
もしも仕込み可能なキッチンカーを製作する場合、提供メニューと出店場所を決めたら、まずは必ず保健所へ相談に行きましょう。
(2)シェアキッチン(クラウドキッチン)を利用
シェアキッチンは、複数の料理人や飲食店が共同で1つのキッチンを利用することです。クラウドキッチン、レンタルキッチン、コラボキッチンとも呼ばれます。あらかじめキッチン設備や道具が揃っているので、リーズナブルに開業できます。
時間や曜日などで分かれて利用するケースが一般的で、定額料金以外に共益費・登録料などがかかります。
最初は都心部中心でしたが、地方にもずいぶん増えてきました。これから全国的に広がっていくでしょう。
デメリットは、好きな時間に利用できるとは限らない点です。また、店によって「菓子やパン作り限定」「副業のみ」といった決まりがあるので、よく確認しましょう。
(3)飲食店のキッチンを借りる
店舗型飲食店のキッチンを借りて、仕込みする方法です。主に、既存店舗の営業時間外や、廃業した居抜き物件を借りるケースが一般的です。一度は営業許可を取得しているため、改修もそれほど必要ありません。
知り合いなどに飲食店経営者がいる場合は、メリットが多いでしょう。
デメリットは、自分に合った設備ではないことと、利用できる時間帯がかなり限られること、そして賃貸料が発生することの3点です。特に、居抜き物件をレンタルする場合、賃貸が大きな負担になるでしょう。
(4)自宅内のスペースにキッチン設備を建てる
自宅内の庭や駐車場などにプレハブやコンテナを建て、キッチン設備を整えて営業許可を取得すれば、仕込み場所になります。いつでも利用でき、自分に合った設備を揃えられ、電源の制限がないことは大きなメリットでしょう。
デメリットは、建設費用が非常に高額になってしまう点です。また、もしも廃業する場合はキッチンカーのように手放せないため、無駄になってしまうことも考えられます。
(5)業務用食材で仕込みを省く
キッチンカー(移動販売)での提供メニューと出店場所が思いついたら、「仕込み」についてもできるだけ早いうちから考えておきましょう。1人で考えるのではなく、まずは保健所に相談に行くことをおすすめします。どこまでの仕込みや調理なら許可されるのかといった「正解」を知っているのは、保健所だけなのです。
どの調理工程が「仕込み」にあたるのかは、保健所によって異なります。調理工程を1つ1つ保健所に確認して、もし仕込みに該当するようであればいっそ「省く」ことも考えましょう。
カットフルーツやクレープシートといった既製品(加工済食材)で代用することもおすすめです。設備費を抑えられ、業務効率化にもつながるので、取り入れている現役オーナーが大勢います。
ですが、この代用食材でよいかどうかも、保健所にしっかり確認しておきましょう。
(6)仕込み不要のメニューを販売する
「キッチンカー(移動販売)を開業するなら、営業許可の取得は絶対に必要」というわけではありません。営業許可は車内で「調理」する場合に必要になるため、完成品のパンや弁当、お菓子を仕入れてきて移動販売を行うだけなら要りません。
ただし、販売する品物はすべて「営業許可を取得した施設で作られていること」が条件になります。
まとめ:「仕込み」でわかる、キッチンカーのこだわりと強み
仕込みについて考えることは、どの食材や工程を強みにするのかといった「取捨選択」にもつながっています。
どうしても代用できない食材や、省けない調理工程が見つかるかもしれません。新鮮な地元の食材を紹介したくて開業した人、あるいは「仕込みからすべて自分で行ったものを食べてほしい」と思う人もいるでしょう。
そういったこだわりをキッチンカー(移動販売)の強みや魅力を軸に展開していくと、あまりぶれることなく継続できるのでおすすめです。こだわりと現実の落としどころをうまく見つけながら、お客さんを満足させられるキッチンカーを続けていきましょう。
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