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キッチンカーを閉業するときの流れと必要な手続き

キッチンカーを閉業するときの流れと必要な手続き

キッチンカー(移動販売)は、他の飲食業に比べて廃業率が高い業態の一つです。
中小企業庁による2021年版「小規模企業白書」でも、開業後1年以内に30%が閉業(廃業)するというデータがあります。

そのため、いざ開業したものの、残念ながら廃業を決意する方もいます。
今回の記事では、「キッチンカーを閉業する際に必要となる手続き」について解説します。

キッチンカー事業は、保健所をはじめとして、税務署や警察署といった様々な行政から許可等を得て営業しています。
そのため、閉業時にもそれらの行政へ様々な書類を提出する必要があるのです。

提出期限が短い書類も多いため、ぜひ本記事をチェック用として使いながら、滞りなく行いましょう。

【1】キッチンカーの閉業に必要な書類とは?

キッチンカー(移動販売)の閉業に必要な書類は、下記の通りです。
ですが、オーナー全員にすべての書類が必要なわけではありません。
深夜にアルコールを提供している場合や、従業員がいる場合などに必要な書類もありますので、自分の業態に合った書類を準備するようにしてください。

期日 書類 提出先
特になし(速やかに) (1)事業廃止届出書 税務署
廃業日から10日以内 (2)廃業届/飲食店営業許可書の返納 保健所
(3)深夜酒類提供飲食店営業の廃止届出書 警察署
(4)廃業届 税事務所
廃業日の翌日から10日以内 (5)雇用保険被保険者資格喪失届 公共職業安定所
(6)雇用保険適用事業所廃止届 公共職業安定所
廃業日から1ヶ月以内 (7)個人事業の開業・廃業等届出書 税務署
(8)給与支払い事務所等の開設・移転・廃止届出書 税務署
事業の廃止又は終了の日から50日以内 (9)労働保険確定保険料申告書 労働基準監督署
翌年の3月15日 (10)所得税の青色申告の取りやめ届出書 税務署

【2】キッチンカーの閉業 手続きの注意点とは?

キッチンカー(移動販売)を閉業する際に必要な手続きと、その注意点について解説します。

(1)事業廃止届出書

キッチンカー(移動販売)の事業主が消費税の課税事業者だった場合は、閉業後所轄の税務署に「事業廃止届出書」を提出する必要があります。

具体的な期日は定められていませんが、「速やかに」とあるので、できるだけ早いことが望ましいでしょう。

参考:インボイス発行事業者の登録を取り消す場合などに提出すべき書類(国税庁)

(2)廃業届/飲食店営業許可書の返納

キッチンカー(移動販売)事業において最もやりとりの多い保健所でも、閉業の手続きが必要です。

廃業後10日以内に、出店場所を管轄する保健所へ「廃業届」を提出します。また、その際に「飲食店営業許可」も返納します。

廃業届の書類形式は、保健所によって異なります。必ず該当する保健所のものを使用しましょう。

(3)深夜酒類提供飲食店営業の廃止届出書

深夜0時以降にアルコール(お酒)を提供していた場合は、「深夜酒類提供飲食店営業」を廃止する届出書を提出する必要があります。

営業届と同じく、提出先は警察署です。
期限は廃業日から10日以内が一般的ですが、地域によって異なることがあります。管轄の警察署で確認しておきましょう。

参考:廃止届出書(警視庁)

(4)廃業届

廃業届「廃業届」は、都道府県税事務所にも届け出なければなりません
届出書の名称や提出期限は都道府県によって異なるため、所轄の税事務所に問い合わせましょう。

ちなみに、東京都の名称は「事業開始(廃止)等申告書」で、期限は約10日です。一方、大阪府は「事業開始・変更・廃止申告書」で、期限は「遅延なく」となっています。

参考:事業を始めたとき・廃止したとき(東京都主税局)

(5)雇用保険被保険者資格喪失届

従業員を雇っていて、その人が雇用保険の対象に当てはまっている場合公共職業安定所に「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する義務があります。

雇用保険は、下記の2つの要件を満たしている場合に対象となります。

  • 一週の労働時間が20時間以上
  • 31日以上引き続き雇用されることが見込まれること

「喪失届」は、その人が退職したタイミングで提出します。従業員が被保険者でなくなった日から10日以内に提出しましょう。

参考:事業主の行う雇用保険の手続き(厚生労働省)

(6)雇用保険適用事業所廃止届

(5)で紹介した雇用保険の被対象者となる従業員が1人もいなくなった場合は、「雇用保険適用事業所廃止届」を提出することが義務付けられています。
そのため、キッチンカー(移動販売)閉業の際にも提出する必要があります。

提出先は公共職業安定所、期限は事業を廃止した日から10日以内です。

参考:雇用保険適用事業所廃止届(厚生労働省)

(7)個人事業の廃業等届出書

個人事業主が廃業する際には、「廃業等届出書」を提出する必要があります。納税地を所轄する税務署と都道府県税事務所の2ヶ所へ提出します。

提出期限は1ヶ月以内です。書式は全国共通で、1枚のみなので、それほど難しくは感じないでしょう。

参考:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続(国税庁)

(8)給与支払い事務所等の開設・移転・廃止届出書

キッチンカー(移動販売)で従業員を雇用していたり、家族が青色専従者だったりした場合は、「給与支払い事務所等の開設・移転・廃止届出書」を提出する必要があります。
提出先は納税地の税務署で、期限は廃業後1ヶ月以内です。

特に、ご家族でキッチンカーを営業していた方は、忘れないように提出しましょう。

参考:A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出(国税庁)

(9)労働保険確定保険料申告書

雇用保険と労災保険いずれかの労働保険に加入している場合は、「労働保険確定保険料申告書」の提出が必要です。
提出期限は、事業の廃止または終了の日から50日以内です。管轄の労働基準監督署や、都道府県労働局などに提出できます。

キッチンカー(移動販売)でパートやアルバイトを含む従業員を雇用している場合は、労働保険に加入することが義務付けられています。

適用対象者は、雇用保険と同じです。

  • 一週の労働時間が20時間以上
  • 31日以上引き続き雇用されることが見込まれること

引用:労働保険の適用単位と対象となる労働者の範囲 | 大阪労働局(厚生労働省)

上記のどちらにも該当する場合に、労働保険の対象となります。

(10)所得税の青色申告の取りやめ届出書

所得税の青色申告を行っている個人事業主は、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」が必要です。
期限は、青色申告をやめる翌年3月15日です。税務署へ提出します。

事業の廃止によって青色申告を取りやめる場合は、本記事で解説した「(8)個人事業の開廃業等届出書」も必要です。
そのため、できるだけ同時に済ませてしまうことをおすすめします。

参考:所得税の青色申告の取りやめ届出書(国税庁)

まとめ:キッチンカーの閉業 保健所などで確認するのもおすすめ

本記事で解説したように、キッチンカー(移動販売)を閉業(廃業)する際には、約10種類の書類を提出する必要があります。

書類一つ一つはそれほど難しくありませんが、提出期限が決まっていることもあり、かなり煩雑に感じる人もいるでしょう。

さらに、地域によって書類の名称や提出期限が異なる点にも注意が必要です。
不安な場合は、一度保健所や税務署など、自分と関わりのある行政機関で必要な書類を確認してみるのもおすすめです。

閉業時にはこれ以外にも、車両・装備品の売却等や、取引先ともやりとりが必要です。書類の手続きにかかる時間はできるだけ減らし、ミスなく閉業したいものです。
今回の記事も、チェックシートとしてぜひ参考にしてくださいね。

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