キッチンカー・移動販売の食中毒対策!気を付けるべき細菌の種類と対策を知ろう
キッチンカー・移動販売の食中毒対策!気を付けるべき細菌の種類と対策を知ろう
公開日:2023年8月25日7月に入ると、全国各地で夏祭りやイベント、フェスなどが開催され、キッチンカー(移動販売)が出店できるチャンスが一気に増えます。
特に今年は、新型コロナウイルスの影響で中止されていたイベントがようやく再開され始めています。数ヶ月前から出店を楽しみにしていた人も多いのではないでしょうか。
ですが、夏の時期は「食中毒」が非常に起こりやすい月でもあります。
キッチンカーの車内は高温・多湿で、スタッフ数も限られているため、店舗型よりも食中毒が起こりやすい環境です。
一度でも食中毒を起こしてしまうと、営業に支障が出ますし挽回するのはとても難しいものです。「予防」を徹底し、未来の営業に繋げてゆきましょう。
目次
食中毒はなぜキッチンカーで起こりやすい?
食中毒を引き起こす細菌やウィルスは、高温・多湿な環境で増殖しやすい傾向にあります。主な細菌については次の段落でそれぞれ解説しますが、30℃前後で一気に増殖するものも少なくありません。
特に夏場は食中毒を引き起こす原因となる細菌が増殖しやすいので、徹底した衛生管理が必要です。
また、店舗型とは異なり、キッチンカー(移動販売)は調理と接客の両方をオーナー一人でこなさなければならないことも大きな原因の一つです。
お客さんと直接接することができることはキッチンカーのよさでもありますが、お金や手などを通して細菌に触れやすいのも事実です。
洗剤や消毒液などはもちろん、使い捨て手袋なども利用して、細菌に「触れない」工夫をしましょう。
食中毒と聞くと、生の食材のみに起こるような気がするかもしれません。ですが、実は加工品の販売でも発生する危険性は十分あります。
キッチンカーで食品を提供するすべての人が、主な食中毒の原因と対策を知り、実践してゆく必要があります。
主な食中毒について 症状・対策などを解説
キッチンカー(移動販売)で起こりやすい主な食中毒について、症状とその対策を解説します。
【1】ノロウイルス
症状:
感染後24~48時間で発熱、腹痛、嘔吐、吐き気、下痢などの症状が表れます。通常1~2日ほどで症状は回復します。
ですが、感染後1週間ほど便にウィルスが排出され続けます。便や嘔吐物からも感染するため、注意が必要です。
対策:
ほとんどの場合、ウィルスに触れた人の手が原因で感染します。とにかくこまめに丁寧に手洗いすることを習慣づけましょう。
アルコールが効かないので、調理器具は「次亜塩素酸ナトリウム希釈液」や、85℃以上で1分間以上熱湯消毒する必要があります。
食材の場合も、85℃以上で1分間以上加熱して下さい。特に二枚貝は要注意です。
ですが、ノロウィルスはこれまで原因となった食品の種類が非常に多いため、どの食品を提供する場合でも注意が必要です。これまでには、貝類、弁当、サラダ、餅、菓子、サンドイッチ、パンなどが原因になっています。
キッチンカー(移動販売)で提供している人も多いので、対策を徹底しましょう。
参考:ノロウイルス対応標準マニュアルダイジェスト版(東京都保健医療局)
【2】カンピロバクター
症状:
食後2~7日で、発熱、腹痛、嘔吐、吐き気、下痢、倦怠感、頭痛などの症状が出ます。感染力が強いため、少ない菌量からでも発症します。
対策:
原因の食品がはっきりしており、十分に加熱されていない肉(特に鶏肉)や飲料水、生野菜などがほとんどです。加熱すれば菌は死滅するので、調理の際には75℃以上で1分間以上の加熱を徹底しましょう。
【3】ウェルシュ菌
症状:
食後約10時間で、下痢や腹痛などの症状が起こります。発熱や嘔吐はほとんどありません。
対策:
20~50℃で最も増殖します。特に、大鍋で作られた煮込み料理の作り置きが原因になっていることが大半です。ローストビーフ、カレー、肉じゃがなどは、キッチンカー(移動販売)で提供している人も多いので、注意が必要です。
調理後は速やかに冷却し、10℃以下か55℃以上で保存しましょう。また、再加熱する際は十分に加熱して殺菌し、できるだけ早めに食べるようお客さんに声がけすることも大切です。
【4】腸管出血性大腸菌(O157, 0111)
症状:
食後12~60時間で症状が表れます。初期症状は激しい腹痛や下痢です。その後、血便、嘔吐などが続き、最悪の場合は死に至る危険性があります。
対策:
主に、食肉の加熱不足が原因です。75℃以上、1分間以上の加熱を必ず行いましょう。
まな板の使い分けも効果的です。食肉とそれ以外の食材を分けるようにして下さい。
調理器具は、洗剤と流水での洗浄以外に、次亜塩素酸ナトリウムも有効です。
一年中起こる食中毒ですが、特に初夏から初秋に非常に増えます。出店時には徹底した衛生管理を行って下さい。
【5】サルモネラ菌
症状:
食後6時間~48時間で、発熱、腹痛、嘔吐、吐き気、下痢、頭痛などの症状が出ます。
対策:
牛、豚、鶏などの食肉や卵などから感染することがほとんどです。食材は新鮮なものを選び、賞味期限内に十分加熱して使い切りましょう。
卵料理が原因になることも多いので、提供する場合は特に注意して下さい。
【6】黄色ブドウ球菌
症状:
食後30分~6時間で、腹痛、嘔吐、吐き気、下痢などの症状が出ます。
対策:
皮膚やニキビなどに生息していることが多い菌です。そのため、十分に消毒していない素手で調理した食品から感染するケースが大半です。
これまでに原因となった食品は、おにぎりや弁当、調理パン、菓子類など、キッチンカー(移動販売)でも提供する人の多いメニューなので、注意しましょう。
対策としては、こまめな手洗い・消毒のほかに、使い捨て手袋も効果的です。
菌そのものは熱に弱いため、75℃以上、1分間以上加熱すれば殺菌できます。ですが、菌から生まれた毒素が非常に熱に強く、100℃で30分間加熱しても分解されません。
食品は10℃以下の環境で保管し、できるだけ早く食べ切るようにしましょう。
一年中発生する菌ですが、最もその危険が高まるのが7~8月です。キッチンカーの車両内は「高湿度・高温」の条件が揃っているので、特に注意して下さい。
キッチンカーの食中毒対策 具体的なチェックポイントとは?
食中毒予防の3原則は、以下です。
・細菌を食べ物に「つけない」
・食べ物に付着した細菌を「増やさない」
・食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」
キッチンカー(移動販売)で食中毒対策を行う場合は、ぜひ下記のチェックポイントを中心に実践してみて下さい。
つけない
【1】使い捨て手袋やペーパータオルなどを使用している。
【2】食肉を扱うまな板は、他の食材と分けている。
【3】流水でこまめに手を洗っている。
増やさない
【4】適切な保管温度になっている。
【5】適切な加熱温度で、食材の中心までしっかり加熱できている。
【6】食材が傷みにくい工夫をしている。
やっつける
【7】厨房スペースをこまめに清掃・除菌している。
【8】手指や調理器具の洗浄・除菌をしている。
まとめ:夏のキッチンカーは食中毒対策が重要
自分のキッチンカー(移動販売)に並んでくれるお客さんを目の前にすると、「少しでも早く提供したい」という気持ちになるのはよくわかります。夏の炎天下ならなおさらです。
ですが、食中毒のニュースを読むと「普段は徹底していた」というものが多く、ほんの一瞬の気のゆるみが原因になってしまっていることがほとんどです。
お客さんが多く、スピードを重視したくなるときこそ、徹底したチェックや予防策を実践するようにしましょう。
また、夏のキッチンカーでは、食中毒対策と同じように大切にしてほしいのが「熱中症対策」です。
眩暈や立ちくらみなどが起こると、衛生管理のような細かいことに注意するのが難しくなります。必ずこまめな水分補給をし、短時間でも木陰で休むようにして下さい。
これからも長く店を続け、たくさんのお客さんに料理を楽しんでもらうためにも、食中毒対策や熱中症対策といった基本こそ徹底するようにしましょう。
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